先日公取委が大企業の優越的地位の濫用について10社の企業名を公表しました。
下請け企業が取引先大企業に対して納入品の値上げをしづらい状況をつくっていることに対する公取委の措置で、少しでも良い方向に向かうことを望みます。
これに加えて私は、人事採用についても大企業が優越的地位の濫用(或いは独禁法違反?)に匹敵する状況をつくっているのではないかと思っています。
人気企業は会社の知名度を利用し多くの優秀な人材を大量に採用します。このため、中小企業にはなかなか良い人材が回ってこないという状況が続いています。
大企業の場合、例えば100人単位で高学歴の人材を採用しますが、これらのひとたちが全員出世する訳ではありません。当然出世合戦があり、淘汰された人達は閑職のポストや子会社に出向します。結果的に十分力を発揮できないまま定年を迎えてしまう人も少なくありません。日本社会はまだまだ終身雇用が残っていますので、勇気をもって他社に転職するということもまだ少ないようです。結果的に大企業は、ある意味、人員の無駄遣いをしているのではないでしょうか。
それならば、大企業の採用時に何らかの規制をかけ、優秀な人材が最初から中小企業にも流れる仕組みを作った方が結果的に全体最適になると思います。
大企業に行けば一生安泰という常識がまだまだありますが、制度が変わればこの考え方も変化していくでしょう。
大企業の大量雇用は優越的地位の乱用?とまで言うと少し言い過ぎでしょうか。
2024年3月18日
向山繁
手前の話で恐縮です。毎日の仕事やその他プライベートも含め、いつも上手くばかり行く訳ではありません。どうしても仕事がうまく進まず、ストレスがたまる場面も少なからずあるものです。その点は、皆さんも一緒ではないかと想像します。そんな時は気分転換が必要で、仕事を中断してウォーキングに出たり、コーヒーを淹れたり、或いは音楽を聴いたり、と手段はたくさんあるでしょう。
そんな中でも私は、部屋に飾ってある絵を見て心を和めるのが好きです。昨年、近所のとあるギャラリーに立ち寄った時、偶然に中村文俊さんという武蔵野美術大学大学院に通う画家の方と出会いました。そして展示してある彼の小作品「朽ちかけの樹について」に、つい手が出てしまい、購入してしまったのです。それはルネサンスを思わせるような画風で、古木からオーラが出ているようなモチーフ。一見、やや不気味にも見えるぐらい奇妙な絵なのですが、それを見ていると不思議にエネルギーをもらえるのです。仕事が手詰まりの時など、その絵の前に立ってじっくり見ながら充電すれば、気を取り直して仕事に戻ることが出来ます。
皆さんのオフィスやリビングにも色々な絵などが飾られていると思います。仕事が煮詰まった時、あらためてそれらをご覧になって心を癒してみたら如何でしょう?
「日々の暮らしに至福のひと時を創る」
は、私が営むもう一つの会社のコピーなのですが、そんな「ひと時」は、私の心を豊かにしてくれます。
さあ、仕事に戻りましょう。
2024年2月15日
向山繁
最近、ユーチューブで、訪日外国人のインタビューをよく見ています。
その中でも特に食べ物について、ラーメン、カレー、お好み焼きといった、日本人が言ういわゆるB級グルメと呼ばれるカテゴリーの食べ物がとても好評のようです。
これらの食べ物は、私たちの生活の中にある「普通」のもので、日本人はこれまで外国人にアピールしてきませんでした。しかし、日本を訪れるインバウンド観光客が自らこれらを見出し、高く評価して、美味しい、美味しいと言って好んで食べているのです。
私達はこれらの食べ物を、ある意味さげすんで「B級グルメ」と呼んできました。しかし、外国人にとっては決してB級ではなく、立派なごちそうです。
日本人が言う「B級グルメ」は、今や外国人にとって「美級グルメ」なのです。
日本人は自分たちの良いところを見出して外国にアピ―ルすることがとても下手な民族だとよく言われます。食に限ったことではありません。ここは、インバウンド外国人をたくさん呼び込み、日本の文化や生活にもっと触れてもらい、彼らに私達日本人が持つ価値を見出してもらいましょう。そうすることは、単なる観光業を超えた意義を持つと私は思います。
「B級グルメ」は、今や「美級グルメ」に。
ブラボー「美級グルメ」!
2023年9月18日
向山繁
ロシアのウクライナ侵攻に思うこと
ロシアのウクライナ侵攻についてこれまでコメントしてきませんでしたが、ロシアでビジネスを経験し、モスクワに一時期居住したこともある一人として、やはり明確に意見を述べておく必要があると思いペンを執りました。
自国から離れて外国に居住し、その国の人々や言語、文化と接しながら生活すると、自ずとその国が好きになる傾向が一般的にあるようですが、私もその例外ではありませんでした。日本とロシアの様々な違いを経験し、戸惑い、良いところ悪いところを実感しながらも、トータルでロシアを受け容れ、好きな国になりました。
2000年の就任以来プーチン大統領は経済を発展させ(石油価格の上昇という運もあるでしょうが)、ロシア人の生活レベルも格段に良くなりました。正義感を持ち、オリガルヒのやりたい放題をけん制し、はびこる賄賂を無くそうとし、国を一つにまとめた手腕は、西側諸国からも評価されました。ロシアは97年からG8にも加盟しています。私は、プーチンだけは、ロシアに珍しく(?)潔癖なトップであると感じ、ロシアがさらに良くなると思いました。
私がロシアに関わり始めた2005年頃から、モスクワでは和食レストランが急速に増えました。以外にもロシア人が、日本や日本人そして日本製品に対し好感を持ち、リスペクトしていることを知り、自身のビジネスにも大きな期待を持ちました。そしてそれから10年ほど、実際にビジネスは順調で、充実した日々を過ごしました。私が担当したジャパニーズウイスキーは、少しずつロシア人の口に浸透し、知名度も上がっていきました。
しかし、2014年のロシアによるクリミア併合でロシアが本性を出しました。主要国はこれを批判するためG8からロシアを除外して元のG7に戻り、ロシアに制裁を科します。
一方のロシア国内では、クリミア併合は正当性を持って報道され、ロシア人はともかく、ロシアに住む外国人の私ですら、もしかしたらロシア政府が正しいのではないかと錯覚に陥りそうになりました。その土地に慣れ、客観的な目でその国を見ることが出来なくなっていました。
しかし私は幸運にも違和感を感じ、やはりこの国ちょっと違うなと感じ始めました。長く住むことで失いかけていた、冷静さや客観性が目を覚ました。会社のビジネス戦略もあり、2015年にロシアの事務所を閉じ、それに伴い私は退職し、帰国しました。ロシアの将来に期待を寄せていただけに、この地と、折角築いたビジネスから離れるのはつらい選択でしたが、結果的には見切りをつける良いタイミングでした。
日本に戻り、ロシアに対する気持ちは少しずつ薄らいでいき、冷静かつ客観的な目でロシアを見ていましたが、8年後の2022年2月、ロシアはついにウクライナに侵攻しました。横暴で強引な理屈、民間人虐殺の実態を見れば、ロシアに正当性が全く無いことは明白です。
ただ、私に今出来ることは、ウクライナ侵攻に反対すること、そしてウクライナに平和が訪れることを心から祈ることだけです。
私はロシアと共にウクライナのビジネスにも携わっていました。美しいキーウやオデーサの街並みが今でも頭に浮かびます。
いつか戦争が終結し、日本や世界が、ウクライナの復興に手を差し伸べる日が一日でも早く来ることを祈り、その平和なウクライナを訪れる機会が私にもやってくることを今から夢見ています。
2023年6月6日
向山繁
先日、ウイスキーマガジンが主宰するジャパニーズウイスキーのイベント「Whisky Luxe Tokyo 2023」にお邪魔してきました。国内のジャパニーズウイスキー17蒸留所が一同に会してセミナー及びテイスティングを行うもので、4時間に亘るセミナーはやや腰痛にこたえたものの、非常に実りのあるイベントでした。
以前のジャパニーズウイスキーと言えば、サントリーとニッカに代表される限られた大手企業が製造販売していたビジネスですが、今や、聞くところによると60もの蒸留所が日本国内で製造を開始しており、ビジネスの様相が大きく変わっていることに驚かされました。
また、最大手のサントリーが当イベントの協賛に加わっており、日本のウイスキー市場全体の発展をサポートする同社の度量の大きさが感じられました。
今は世界がウイスキーブームとなっており、その中でもジャパニーズウイスキーは特にホットカテゴリーで、世界中が日本のウイスキーづくりに注目しています。
アメリカで生まれた自動車が世界中に広がり、それぞれの国の文化を反映するような世界的ビジネスに発展していったように、ウイスキーというカテゴリーが同様の道を歩む予感がして、とてもわくわくした気持ちになりました。
ジャパニーズウイスキーが、一時のブームに終わるのではなく、大きな大輪の花を咲かせることを祈るばかりです。
イベントでは昔一緒に仕事をさせて頂いた多くの方々にお会いしましたが、なかでも日本のウイスキーづくりのスーパースター、サントリーの名誉チーフブレンダーでおられる輿水精一さんとお会いできたことは今回の大きな喜びでした。以前海外の多くの都市でジャパニーズウイスキーのセミナーに同行させて頂いたのは懐かしい思い出です。今でも精力的にジャパニーズウイスキーの普及に努めておられます。
ビバ、ジャパニーズウイスキー!
2023年4月20日
向山 繁
ブランドビジネスを行っている大企業は、例えば売上の10%とか12%を広告費に投入していて、売上規模も大きいためその額は相当なものになります。そして、この潤沢な予算を使ってCIやブランド戦略を構築し、実践しています。
これに対して中規模や小規模の企業は、広告宣伝費に大企業のような比率の予算を立てることは難しく、たとえ出来たとしても総額でははるかに大企業に及ばず、質量ともに十分な広告活動を行うことはできません。
そこで、当社が提案した成功例をご紹介します。
中小企業が多額の予算を使うことなく効果的、効率的に広告宣伝を行う方法はあります。限られた予算で企業ロゴやブランドロゴのデザインを作ろうとしても、はっきり申し上げてなかなか良いものは出来ません。中途半端なロゴづくりはかえって企業のイメージを落としかねません。
私は、企業の戦略を考えるときに、とにかく強み(SWOTのS)を徹底的に洗い出し、その中から答えを見つける作業をしてくださいとお勧めしています。そして、その中に必ず含まれるものが社長ご自身です。中小企業の場合、オーナー社長が経営をしているケースが多く、社長はまさに企業の顔です。まず社長が顔を出してください。多くの社長がそんなもん、恥ずかしくて出来るかい、という反応を示されます。しかし私は、予算が無いのだからまず社長が出ていかないでどうするんですか、とお返しします。そして、社長が広告に出る分には出演料はゼロなのですから。
その方法は、まずはホームページが一番簡単でしょう。どんな人がこの会社を経営しているのかを、きわめて少額の予算を使って示すことが出来ます。ホームページのトップページに、社長の顔をドーンと掲載しましょう。もちろんこの写真はベストなものを使ってください。ここだけはけちらず、良いカメラマンを使って何枚も撮影しベストなものを選んでください。
これにより、社長がコーポレートあるいはブランドアンバサダーになれます。ものづくりを行う中小企業の場合、社長自らがその製法を熟知されている、或いはご自分で実践しているケースが多いわけですから、自社製品をアピールするのに社長は最適任者です。
良く何をアピールすればよいかわからない、とおっしゃる社長さんもおられます。まずは素の自分をアピールしてください。そして基本的ではありますが、徹底した企業のSWOT分析を行ってください。特にSの抽出です。日本人は控えめで、せっかく自身や自社が持っている素晴らしいものを普通ぐらいにしか感じておらず、アピールすることをしません。しかしここは、勇気と自身を持って社長が会社の前面に出てアピールするのです。
まずは社長が前面に出てくると、それに引き続いて色々と良い展開がなされます。それが重要です。私がサポートさせていただいた複数の企業は、これを実践し、企業の雰囲気が変わり、業績のアップにも繋がっています。
簡単なことなのですが、驚くほどの効果が現れることでしょう。
何だそんなことか、と思わず、まずは実践してみてください。
社長は企業のアンバサダー!
2023年2月21日
エピックジャパン
向山繁
最近もやしの値上げのニュースを良く聞くようになりました。
もやしは、一袋2~30円台という価格が長年据え置かれてきました。
私は常々スーパーでもやしの価格を見るたびに、こんな値段でビジネスになるのかなぁと常々疑問に思ってきました。
スーパーが100個仕入れても総額で3千円、利益率が2割としても600円。相対的に品物の単価が安いスーパーとはいえ、やはりこれでは利益があまりにも少ないビジネスモデルです。
もやしはたまごなどと並び(さすがに最近卵も値上げラッシュですが)物価の優等生と言われてきました。物価の優等生?日銀が掲げている物価は年率2%が理想とされている訳ですから、値段が上がらないものが「物価の優等生」と呼ばれるのは間違いではないでしょうか?日銀の指標を考えると、物価の優等生は年率2%で値上げされるものです。
日本中がデフレ的なビジネスモデルで埋め尽くされるのは決して良いことではないと思います。もちろん、給料アップが前提ではありますが、デフレ的思考の蔓延が今の日本の経済を弱めているのではないでしょうか?生産者が利益を最小限化するのではなく、健全でサステナブルなビジネスを行うという意味でも、適切な価格上昇は正当化されて良いものだと思います。全ての経済の循環が正しく回ることを前提に、
もやし値上げ、賛成です!
2023年2月17日
向山繁
先日、友人の息子さんが所属するプロバスケットボールチーム、湘南ユナイテッドの試合を観戦しました。このチームはBリーグのB3に所属しており、まだまだ上を目指さなければならないチームなのですが、それでも初めて見るプロバスケ、なかなか面白い体験をさせてもらいました。
スポーツビジネス隆盛の昨今で、Bリーグは直近の成功例として注目されています。試合の勝ち負けはもちろんエキサイティングですが、単に勝敗という不確定要素に左右されずにトータルのエンターテインメントとして観客が常に楽しめる機会になっているところが、Bリーグを含めた最近のプロスポーツの素晴らしいところです。
観戦した私の感想ですが、まずはアスリートの動きが素晴らしかったです。もちろんB3のチームですからトップリーグとはレベルが少々異なるのかも知れませんが、それでもさすがプロ、アスリートぞろいで、ドリブルのスピードや3ポイントシュートにはぞくぞくするような感動をもらいました。
もうひとつ素晴らしかったのがチアリーダーのパフォーマンスでした。バスケの試合の場合で気が付いたのですが、他のスポーツと異なりチアたちがコートに出てくる頻度が多く、選手たちに次ぐ存在感を持っています。そんな環境で素晴らしいパフォーマンスを見せれば、さらなる観客を呼びこむことも可能だと感じました。
会場の演出という点では、ライティングに動きが無く、スクリーンが無いためにリプレーも見られず残念な点もありましたが、これも予算あってのこと。今後の発展に期待したいものです。
湘南というブランドをチーム名に持つ湘南ユナイテッド、まだまだ大きな発展の余地があると感じます。また機会を作って試合観戦に出掛けようと思っています。
GO!湘南ユナイテッド!
2023年2月14日
向山繁
従業員の賃上げについて、やっと大企業の企業経営者が重い腰を上げだした昨今ですが、一方の中小企業の経営者からは、なかなか厳しいという声が多く聞かれます。
製品やサービスの値上げに関しても同様で、大企業はやむなしという形で多数の企業がある意味堂々と値上げを発表しているのに対し、中小企業の多くが値上げは難しいと言っています。
そもそも中小企業の多くは、例えば売上利益率が数%以下というような最小の率で企業を廻しているところも多く、また納入先の大企業への忖度もあり、なかなか値上げするのが難しい状況なのだと思います。
しかしこのような時だからこそ変革のチャンス、と考えてみては如何でしょうか。設備、人材など必要な投資を継続的に行う(つまりサステナブルな)ビジネスをしていくためには、例えば15%とか20%とかの健全な利益率が必要です。
是非この変化の時に、このような率を実現できるビジネスモデルをつくってみるのは如何でしょう。
値上げせずに我慢するのではなく、また、取引先に頭を下げて値上げをお願いするのでもなく、企業や製品の価値を高めることで利益を生む適正価格まで値上げするのです。
どうやって?
そのためには、自社や自社製品のブランドを構築することが必要です。
ブランドなんて大企業しかつくれないと思われるかも知れませんが、中小企業でもつくることは可能です。
もう一度自分たちの強みを考えなおしてみては如何でしょう。
そこに答えがあるかも知れません。
今こそチャンスです。
2023年1月25日
エピックジャパン
向山繁
ご縁があって、伏見漆工房の伏見眞樹さんが創作されたお椀を一つ購入しました。
私は恥ずかしながら以前は漆器というものに関心が浅く、この歳までその本当の良さを知らずに生きてきました。もちろん漆器に接したことが無いわけではなく、それなりに接してきたのですが、本当の良さがなんであるかを頭と体で実感できた経験が無かったのです。実を言うと今回は、何で漆器が良いのかをあらためて実体験してみようという、少々邪悪な気持ちで購入したのです。
しかし、使ってみるうちに、あっ、これがそうなんだ!と感じることができたのです。
テレビで日本の漆器の特集などを見かけますが、「完璧すぎると、見た目がプラスチックと変わらない」からその価値がわからないと、外人が良くコメントしています。私もお恥ずかしながらそちら側の人間でした。
でも今回私が見つけたその良さは、肌に触れる触感でした。手に取ってみると、そして唇に触れると、その感触は何とも言えず心地よいものです。つるつるでもなく、ざらざらでもない、この不思議な肌触り。やみつきになりました。
漆はそもそも何のために塗るのか、と知り合いに尋ねたことがありますが、主な目的はコーティングだそう。しかし単にコーティングなら、なんでわざわざ手がかぶれる素材を樹木から採って、そして縄文時代から何千年も使い続けているのかわからない、他にもっと良い素材や方法があっただろう、と思っていました。
でも、この漆器を手に持ったとき、そして唇にあてたとき、何で日本人が太古の昔から使い始め、現代までつくり続けられてきたのか、わかった気がしました。何でこれまでこの感触に気が付かなかったのだろうか、と自分自身不思議に思ったほどです。つるつるでもない、かと言ってざらざらでもない、この超絶微妙な感覚は何なんだろうと。
日本の伝統工芸の存亡が危惧されている昨今、伏見眞樹さんの創作活動をリスペクトし、氏の作品を愛で、使いつつ、漆工芸が後世に引き継がれていくことを切に望んでいます。
つるつるでもない、ざらざらでもない、この心地よい漆器の触感は、日々の暮らしに至福の時を創ってくれています。
2023年1月12日
向山繁
健康保険所や運転免許証との統合で賛否が分かれ、今一つ人気の出ないマイナンバーカード。私は、もうひとつ不人気の理由として一つ思い当たる節があります。
あくまでも私感ではありますが、このカード、あまりカッコよくないと思います。
ピンクのバックで何となくパッとしない全体のトーン、あまり目的が分からない写真の縁のぼかし、名前や住所、生年月日など、文字の位置がばらけ、何となく統一感の無い全体のレイアウト。重要なカードであるにもかかわらず、目立つ訳でもなし、その辺に置いておくとすぐに紛失してしまいそうな存在感の無さ。
やはり、いまひとつだなぁ、と思います。
デジタル化という明確な目的があるだけに、見栄えが良く、カッコいいカードだったら、もう少し人気が出るのではないかと思うと、残念でなりません。
さらに英語の表記も無く、海外でIDカードとしても使えません。
こうなれば、非現実的かつ無責任なソリューションだとは思いますが、いっそのこと、ちゃんとしたデザイナーを使って、カッコいいカードをつくり直してみては?
その名も、“JAPAN CARD”
如何でしょう?
2022年10月18日
向山繁
コーヒー豆は七里ガ浜キャビンのダークロースト。どんなに海岸線が混んでいても、毎週末のルーティンは欠かさない。銅のケトルでお湯を沸かす。水は水道水で問題無し。カップ2杯の豆を挽き、桜ちらしの上絵付を愛でながらフラワードリッパーをビーカーに載せる。お湯が沸いたら、注ぎ口6ミリ径の燕製ポットに移す。湯温は83度。そして静かに気持ちを整え、Osmotic-flow方式で、中央からゆっくりお湯を廻し注ぐ。えぐ味が出ないよう、お湯が落ちきる少し前にドリッパーを外す。最後にビーカーのコーヒーを有田焼の手描きマグカップに移し、口に運ぶ。この間約15分。毎日のコーヒールーティンは至福の時であって、ライフラインでもある。このひと時が無ければ何と悲劇的な一日になってしまうことだろう。無くてはならない、かけがえのないひと時だ。
2022年9月28日
向山繁